内科・呼吸器内科・皮フ科・麻酔科(ペインクリニック内科)・リハビリテーション科松田クリニック

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コラムcolumn

2022.3.3

いわゆるアスピリン喘息について

アスピリン喘息は、アスピリンを含めた酸性非ステロイド性抗炎症薬で大発作を起こす喘息で、しばしば致死的発作となります。 頻度は成人喘息の約10%、重症例では30%近くになると言われています。上記薬剤は、解熱鎮痛薬として内服、座剤、湿布など広く使用されています(医療機関で出される薬だけでなく、市販のバファリン、ノーシンなども)。アスピリン喘息では、これらの薬品接種後20分~2時間以内に、多くは水様鼻汁、鼻閉、顔面紅潮を伴って重症発作が起きます。これはアレルギー反応ではないので、あらかじめ血液検査などで調べる事ができません。遺伝性ではなく、喘息の人が一度この体質を持つと、一生続きます。その発症のメカニズムが徐々に解って来ましたが詳細は未だ不明です。 診断は、問診で過去の誘発歴を問いただすか、実薬で誘発試験をするしかありません。但し、誘発試験は危険を伴うので、入院可能な専門の施設でないとできません。しかし、ある程度この疾患を疑う臨床的特徴があります。 それは、 1.香水やスプレーの匂い、練り歯磨き、香辛料の多い食事などで喘息発作が誘発された ことがある 2.成人発症、特に30~40歳代に鼻症状が1年~数年先行して喘息になった 3.鼻症状は嗅覚低下が最も多く、鼻閉、鼻汁がそれに続く 4.約9割で慢性副鼻腔炎や鼻ポリープを合併している 5.非アトピー性、通年性喘息で比較的重症 などです。 喘息発症後に酸性非ステロイド性抗炎症薬を使っても発作が出なかった人は、まず今後とも同薬の使用は安全でしょう。上記薬剤の経験が無いか不明の喘息患者さんで、1.~5.の特徴が複数ある方は、この薬は避けるのが安全です(特に1.がある方)。既にアスピリン喘息があると判明している方やその危険性がある方は、何科を受診するにせよ、医師、歯科医師にその旨を告げましょう。また、はっきりそれを書いたカードを持ち歩き、それも提示するのが良いと思います。