2022.8.28
慢性閉塞性肺疾患 その2
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の早期発見には呼吸機能検査をします。
スパイロメーターという機械を使って、肺の中の空気を一秒間にどれだけたくさん吐き出せるか(一秒量と言います)を見るのです。診断にはこれが一番大切な検査です。COPDの人は力がいくら強くても気管支が狭く空気抵抗が大きいため、一度に大量の空気を出すことが出来ません。その度合いによって症状、重症度、治療も変わってきます。例えば、一秒量が1.2L以下では屋外の活動が困難ですし、0.7L以下なら家の中での生活にも支障が出ます。
治療の第一は禁煙です。これ無くしてはお話になりません。しかし、これが最も難しいと言えるでしょう。ニコチン依存症は容易い相手ではないからです。とは言え、COPDの患者さんは何としてもこれ以上の肺の破壊を止めなくてはなりません。そのためには、禁煙援助会などの助けを借りたり、ニコチンパッチやニコチンガムを使ってでも何でもよいのです。とにかくタバコを断つことです。肺以外酸素を取り込んでくれる臓器は無いのです。残った肺をできるだけ大切に使って下さい。
薬物療法では、気管支拡張薬(抗コリン薬の吸入、β2刺激薬、テオフィリン製剤)や去痰剤を使います。吸入ステロイドが有効な場合もあります。感染などで急速に悪化した時は、抗生剤や一時的に大量のステロイドを使うことがあります。入院の上、人工呼吸管理をしなければならない場合もあります。低酸素血症まで進んだ患者さんでは、長期の在宅酸素療法が必要です。これは保険が効く治療です。労作時の息切れを軽くするため、運動を中心とした呼吸リハビリテーションも行います。特殊な治療として、働いていない肺気腫の部分を外科的に切除して換気改善を図るものもありますが適応は極限られています。