内科・呼吸器内科・皮フ科・麻酔科(ペインクリニック内科)・リハビリテーション科松田クリニック

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コラムcolumn

2023.9.7

肥満症について-その3

今回は、減量のための少し具体的なお話です。 先ず、実現しそうもない目標体重を設定せず、体重の5~10%の減量を3~6ヶ月で達成する緩やかなものにしましょう。必ずしも標準体重に拘らなくても良いのです(標準体重はBMIで22です。BMIについては「肥満症-その1」に詳しく出ています)。 美容上はともかく、肥満症の人が体重の5~10%の減量をするだけでも高血圧、糖尿病、高脂血症が改善され、狭心症・心筋梗塞などの心臓病の頻度が減ることが解ってきました。例えば、身長165cm、体重80kgの人のBMIは29.4で、標準体重はおよそ60kgですから、それを目指そうとするなら20kgも減量しなくてはならず、はるかかなたではなから嫌になっちゃいます。それが、5~10%にあたる4kg~8kgの減量、つまり76kgから72kgを目指すのは途方も無い目標ではなく、やる気も湧いてくるでしょう。もちろん、さらに減量の努力をされても構いません。 次に食事量とその内容です。先ず、減量中は間食を止めましょう。これには甘いジュースや缶コーヒーも含まれます。特に夕食後の間食は避けましょう。朝食を食べないなどの一食抜き、一食で大量に食べる「どか食い」、「だらだら食い」があればこれらも中止します。中華料理、肉の脂身、フライものなど油が多い食品をできるだけ減らし、その代わり筋肉を減らさないために蛋白質を一日70gは摂るようにします。70gの蛋白質を具体的に言いますと、牛乳200ml、卵1個、魚80g(刺身なら普通の大きさで5切れ)、肉80g、豆腐1/2丁の合計です。甘味料も砂糖の代わりにアスパルテームなど低カロリーのものを使うのも良いでしょう。また、三食前に生野菜、海草サラダ、きのこ、大根、たけのこなど低カロリーで繊維質の豊富な食品をたくさんゆっくりよく噛んで食べます。野菜だけのミネストローネスープをたくさん食べるのも良いでしょう。これにより、ある程度満腹になるのでその後のカロリー摂取量が減りますし、食物繊維は糖質の吸収を緩やかにしてくれますので食後高血糖の予防にも役立ちます。ここで注意する点は、味付けにはノンオイルドレッシングなどを使い、できるだけ食用油を避ける事です。ご飯は、一回の食事当たり茶碗3分の2杯~1杯分は食べます。主食である炭水化物を減らし過ぎると空腹感に耐えられず、副食(おかず)や間食の食べ過ぎになりがちです。ご飯を減らしているのにやせないと訴える方で、この副食をしっかり食べている方が以外に多いのです。また、副食でも、かぼちゃやイモ類は糖質が多いので、主食と同じ炭水化物と考えて下さい。総カロリー量は、女性で一日1200~1400kcal、男性で1500~1600kcalくらいが長期的に実行できる範囲かと思います。 運動もダイエットと同時に積極的にやりましょう。「肥満症-その2」でもお話しましたように、減量だけでなく、減量後の体重再増加を防ぎ、やせを妨げる適応現象や脂肪太りの悪循環を避ける点でも効果的です。できれば10分位の軽い運動を毎食後やるように心がけましょう。食後自宅や職場の回りを歩くだけでも良いのです。かつては、20分以上の継続した運動でないと減量効果がないと言われていましたが、10分位の短い時間でも合計時間が同じならエネルギー消費量に差がないことが解かっています。この有酸素運動に加え、筋肉量を維持するため体幹や四肢の筋力トレーニングを反復10~15回するものを組み合わせると良いでしょう。日常生活でまとまった運動時間が取りにくい方は、できるだけエレベーター、エスカレーターに乗らず階段を使う、一駅手前で降りて歩いて帰る、ちょっとした距離の買い物などは車を使わず歩くなど、工夫して日々の生活に運動を取り入れて下さい。股関節や膝の問題がある方でも、椅子に座って無理なく手足の運動ができます(例として、京都大学第2内科の先生達が考案した「すわろビクス」が既にビデオになっています)。 尚、コントロール不良の糖尿病、重症高血圧症、心臓疾患などの内科疾患や変形性膝関節症などの整形外科的疾患のある方は、運動でその疾患が悪化したり、心筋梗塞など合併症を引き起こすことがありますので、必ず主治医に相談して下さい。