内科・呼吸器内科・皮フ科・麻酔科(ペインクリニック内科)・リハビリテーション科松田クリニック

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コラムcolumn

2024.7.11

骨粗鬆症のお話

骨粗鬆症は骨の密度の低下と骨の中の微細な構造の変化で骨が弱くなり、骨折の危険が増大した状態をいいます。骨は、常に吸収されつつ新たに作られています。骨粗鬆症ではこの骨代謝が全体に亢進するのですが、吸収のほうがより活発になるので骨量が減って行くことになります。その結果、ちょっとした尻餅や転倒で脊椎骨、大腿骨、前腕の骨などを骨折してしまいます。日本で高齢者の寝たきりの原因では、脳血管疾患、衰弱に次いで骨粗鬆症による骨折が第3位です。女性では閉経後急速に骨量が減り、50歳以上の女性の約25%が骨粗鬆症と言われています。その他の危険因子は、軽微な外力での骨折の既往(これは骨密度とは独立した危険因子)、年齢、喫煙、骨折の家族歴、ステロイドの使用などです。複数の脊椎骨を骨折すると背中が丸くなる亀背になります。背の丸くなった方や、背中の痛い方、既に軽い外力で骨折を起こしたことがある方、その他思い当たる方は胸・腰椎のX線写真や、骨密度の検査を受けてみて下さい。そこで、骨のX線写真で骨折が確認された方、弱い外力で骨折した既往のある方、骨折がなくても骨密度が若い成人の平均値の70%未満の方は骨粗鬆症があると判断されます。 治療面では近年大きな進歩があり、ビスフォスフォネートやラロキシフェンという、大規模な臨床試験で骨折予防効果が明確に示された薬剤が使えます。ビスフォスフォネートは前述の骨代謝のうち、骨吸収を強力に抑え、骨密度を増加させます。さらに治療開始1年以降は骨折の予防効果がはっきり現れてきます。ラロキシフェンも骨吸収を抑える薬で、適応は閉経後の女性の骨粗鬆症に限られています。ビスフォスフォネートに比べ、骨密度増強効果は弱いのですが、骨折抑制効果はほぼ同等で、さらに乳癌の発生率を低下させたり、動脈硬化を進める悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げるなどの副次的な良い効果もあります。 治療効果の判定の面では、骨密度以外に骨代謝のマーカー(骨形成マーカーや骨吸収マーカー)を血液や尿で簡単に測れます。これによって、科学的に効果を判定しながら治療を行えるようになっています。 生活習慣として、普段から乳製品,豆腐などのカルシウムを多く含む食品を摂る、適度の運動をするなども大切です。特に転倒が大腿骨骨折の一番の原因ですから、高齢者のいるお家ではつまづくようなものを床や廊下に置かない、できるだけ段差を減らす、階段、トイレ、風呂場や段差のある所には手すりを付ける、高齢の方は運動で筋力やバランス感覚を付けておくことなどは重要です。