2024.2.11
メタボリックシンドロームのお話―その2
前回で述べた日本人に合わせて作られたメタボリックシンドロームの診断基準によると、日本人での頻度は男性で約21%、女性で約8%です。
メタボリックシンドロームがあると、虚血性心疾患では、そうでない人に比べ、欧米では約3倍、日本人では2.1倍危険があるとのことです。
胃、腸の周囲の内臓脂肪は、単なるエネルギーの貯蔵だけでなく、アディポサイトカインと言われる動脈硬化、高血圧、高血糖に係わるさまざまな生理活性物質を作り、放出しています。内臓脂肪が増加するとこれらアディポサイトカインのうち、高血圧、高脂血症、糖尿病などの病気を引き起こすように作用するものが多く作られ、予防するものが減少します。内臓脂肪が減ると、これとは反対の反応になります。内蔵脂肪は食事療法や運動で容易に減少しやすく、反対に過食、運動不足で簡単に増加します。従って、
治療の第一は、何と言っても食事療法と運動療法で減量し、かつやせた状態を維持することです。やせるとほとんどの危険因子は無くなるか軽くなります。やせることは個々の危険因子に対して何種類もの薬を服用する以上の効果があります。
食事では、間食を避ける、脂肪の多い食品を減らす、野菜を増やす、夕食後すぐ寝ない、一食で大量に食べるどか食いをしないなどです(詳しくは、「肥満症について―その3」もご参照下さい)。運動では、速歩きなどの軽い有酸素運動を1日約30分と体幹や四肢の筋力を維持する筋力トレーニングを反復10~15回するものを組み合わせて週3日以上行うとよいでしょう。
食事療法と運動療法の組み合わせで、1日の摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがマイナス200~300kcalであれば、1ヶ月で約1kg体重が減ります。軽く茶碗1杯の米飯が160kcalですから、いつもの間食を止めて少し運動すれば充分できることです。肥満症の人の目標体重は現在の体重の5~10%の減量で、これを3~6ヶ月で行うと無理な負担がないと言えます。