内科・呼吸器内科・皮フ科・麻酔科(ペインクリニック内科)・リハビリテーション科松田クリニック

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コラムcolumn

2024.7.13

咽頭結膜熱(プール熱)のお話

咽頭結膜熱はアデノウイルスによる発熱、咽頭炎、結膜炎を主な症状として夏に流行する急性感染症です。罹患年齢は9歳までが90%を占めますが、大人でも罹ります。とても感染力の強いウイルスで、主な感染経路は、咳・くしゃみからの飛沫感染と手指やタオルなどを介した接触感染です。他に幼稚園や学校のプールの水を介して目から感染することも多いのでプール熱とも呼ばれます。2006年は過去10年間で最も大きな流行状況です。 ヒトのアデノウイルスは49種類の血清型が知られていますが、この疾患を起こす主なウイルス型は1、3、4、7型です。これらの型のウイルスは、咽頭結膜熱以外にも扁桃腺炎、肝障害、肺炎、脳炎・脳症、胃腸炎、心筋炎などを起こし、特に7型による肺炎は重症化することがあります。 潜伏期間は3~7日で、症状は39℃前後の発熱、咽頭痛、頭痛、全身倦怠、結膜炎による目の充血、痛み、目やに、光が眩しいなどです。腹痛、下痢、頚部のリンパ節の腫れが出ることもあります。発熱は平均5日は続き、40℃以上になることもしばしばです。典型的な所見は咽頭全体の発赤と白い滲出物を伴う扁桃腺の腫れ、片目から始まる結膜の充血です。しかし、あまり高熱でない人、咽頭炎や結膜炎の所見に乏しい人もいますので初期に正確に診断するのは難しい場合があります。ウイルスの排出は、目、咽頭からは発症3日前から発症後約2週間、便からは3~4週間程度続きます。血液検査では他のウイルス疾患と異なり、白血球の増加や炎症反応の強さを反映するCRP値の上昇を伴う例が多く見られます。 診断は一般に迅速診断キットを使って行います。綿棒で咽頭や結膜を拭ってウイルスを採取し、それに抗ウイルス抗体を反応させるものです。現在売られているキットは感度が90%以上と良好で、アデノウイルス以外には反応せず、10分程度で結果が出ます。 現在、対アデノウイルス用の特効薬が無いので、治療は基本的に対症療法となります。ウイルスですので抗生剤は無効です。結膜炎に対しては、抗炎症薬の点眼が使われることがあります。脱水に対して点滴による水分補給をすることもあります。 肺炎の合併を疑う場合や全身状態の悪化があれば入院治療も必要です。登校については、学校保健法により症状が消えてから2日経過するまで出席停止となっています。 予防は、流行時には手洗い、うがいをよくすること、プールから出たら流水でよく目をあらうこととシャワーをしっかり浴びることです。タオルの共有も避けましょう。