内科・呼吸器内科・皮フ科・麻酔科(ペインクリニック内科)・リハビリテーション科松田クリニック

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コラムcolumn

2024.9.22

禁煙を始めた方へ

いよいよタバコフリーの世界へ踏み出しましたね。ここで言う「タバコフリー」とは「タバコが自由に吸える」という意味ではなくて、「タバコから開放された、タバコが無い」という意味です。
 単に頭で考えているのと違い、行動を起すのは大変大きな一歩です。ニコチンは麻薬や覚せい剤と同様、脳に作用して強い依存症を起す薬理作用のある物質です。その薬物依存症と闘うという大変困難なことにチャレンジしている訳です。ですから時には「よくやってるな、偉いぞ」と自分を褒めてあげて下さい。ある期間ごとに区切ってご自分にご褒美を上げるのも良いでしょう。但し、タバコは禁物です。
 さて、以上を踏まえて、以下の5つを心に置いて禁煙を続けて下さい。肩肘張らず、油断せず行きましょう。まあ、ここらでお茶でも1つどうぞ。

1.なぜ禁煙をしているのか常に思い出す
 禁煙はつらいですよね。そのつらさのあまり悪魔のささやきが聞こえて来ます。「禁煙のストレスのほうが健康に悪いぞ」、「イライラして家族に当たり散らすから、吸ってるほうが家庭円満だ」、「大事な仕事の情報はタバコ仲間との一服の間に得られるのだ」などの屁理屈まで頭に思い浮かばせて吸わせようとします。そういう誘惑に負ける前に、なぜこんな思いをしてまで、禁煙しようと決心したのか、禁煙を始めた最初の理由を思い出して下さい。そのご自分との約束を捨ててまで、またタバコの世界に戻って行くのか、それで良いのか自問自答して下さい。

2.禁煙に例外を作らない
 仕事や人間関係のトラブルなどで、「どうしてもこんなつらい時だけは、例外として吸ってもいいよね。」と自分に言わない。そして吸わない。禁煙に例外事項はありません。一端例外を作るといつまでも例外を許し続けます。そのうちどんどん例外だらけになって、気付くと何も変わっていません。
 それから、もう1つ。減煙は禁煙につながりません。本数が減っても吸い続ける限り、心理的(習慣性の)依存状態とニコチン依存状態が繰り返されるので、ある限度の本数以下にはならなくなります。薬物依存症はそんなにやわな相手ではない。

3.節煙しながらタバコを楽しみたいと思わない
 ある一定期間禁煙できた人が、「もう自分はタバコの奴隷ではないのだから、コントロールしながら楽しみとして時々1、2本吸うのもいいんじゃないか。」と考えることがありますが、それは甘い。1、2本で留めておける訳がありません。1本吸ったらもとの木阿弥です。タバコにそういう未練があるのなら禁煙は最初からあきらめた方が良い。

4.禁煙の闘いは長い道のり
 一定期間禁煙できればあとはもう大丈夫、はい卒業とは行きません。薬物依存症はそんなに簡単に離れてくれません。人間は弱いものです。いつ何時、誘惑にそそのかされて、たばこに手を出すかも知れません。猛烈に吸いたくなるフラッシュバック現象はいつ来るか解らず、その危険性はずっと続きます。年数を経れば徐々にフラッシュバックも弱くなりますが。10年間禁煙していたのに、ほんのちょっとした油断から1本吸って元の1日60本に戻った方がいます。

5.失敗しても禁煙をあきらめない
 今、禁煙成功を目指している人に失敗の話をするのは、腰を折るようで場違いかもしれませんが、失敗は有り得ます。禁煙に成功した人達は皆が1回のチャレンジで成功している訳ではありません。偉かったのは、失敗してもあきらめず、何度でも挑戦したことです。もし、万が一再度喫煙してしまっても、「たった3日しかできなかった。」、「1ヶ月しか持たなかった。」と考えないことです。この「しか」は止めましょう。「も」と考えるべきです。「3日も禁煙できた。」「1ヶ月も1本も吸わなかった。」と褒めるべきです。そして、また、今度は負けないぞとチャレンジすれば良いのです。ネガティブにならず、禁煙の経験を次の禁煙のための力にしましょう。ニコチン依存症は強敵です。ですから最初はこちらも負けることもありますが、力を付けてネバーギブアップの精神で立ち向かえば必ず勝てる相手です。