内科・呼吸器内科・皮フ科・麻酔科(ペインクリニック内科)・リハビリテーション科松田クリニック

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コラムcolumn

2020.10.20

成人喘息の発作予防

成人の喘息治療は、大きく2つに分けられます。(1) 発作の治療と、(2) 発作を予防するための長期的な治療です。発作の場合は、命に係わりますから早く医療機関を受診して下さい。実は、このような発作を常日頃から予防する長期的な治療が大切なのです。 簡単に言えば、発作が出る度に薬で抑え込むけれど普段は予防をしない「モグラ叩き」的治療ではだめだという事です。極く軽い発作が月に1、2回しか出ない人は必ずしも予防薬を使わなくても良いでしょうが、それ以上の人には必要です。  喘息では気管支に特殊な炎症が起きていて、そのため気管支を取り巻く筋肉が収縮したり粘膜がむくんで、空気の通り道が狭くなります。さらにひどくなると痰で気管支が塞がったりします。これらの変化は軽症の喘息患者さんにも見られます。そして、この気管支の炎症を長い間そのままにしておきますと、気管支壁の構造自体が変化して、常に空気の通り道は狭く、治療しても元に戻らなくなってしまうのです。 この厄介な炎症を抑えるのが、最も理にかなった予防的治療と言えるでしょう。そこで登場して来たのが、「抗炎症薬」としての吸入ステロイドです。この効果は劇的で、世界の成人喘息治療を一変させてしまった程です。飲んだり注射するステロイドと違い、全身性の副作用はほとんど有りません。今までの定量噴霧式の吸入ステロイドに加え、さらに効果が高く、吸い易いパウダー式の物が1998年から日本でも使えるようになりました。世界のみならず日本のガイドラインでも成人喘息では、第一選択薬になっています。もちろんこれだけで全ての喘息を治療できる訳ではないので、従来の治療薬や最近進歩している抗アレルギー薬も役割はしっかりあります。吸入ステロイド療法を中心に、種々の治療薬を組み合わせれば、かなりの発作は防ぐことができると思われます。