結核はもはや過去の病気ではありません。平成9年には罹患率が43年ぶりに増加に転じ、その後加速的に増えており、平成11年の罹患率は、38.1(人口10万対)で、欧米諸国よりだいぶ高い数字です。実数ですと毎年5千人近くの人が新たに発病しています。
では、なぜ増えたのでしょう?
先ず高齢者での発症増加が挙げられます。70歳以上の方々は、戦後の結核蔓延時期を生き延びて既に感染している割合が高く、高齢になり免疫力が衰えて菌の復活を抑えきれずに発症するものです。
次に、中年、若年者では、結核に免疫がない人の割合が増えたため、発病しやすい状況にあります。この年代はBCG を受けてたんじゃないのかとお考えになるかもしれませんが、BCGの効果はせいぜい十~十数年しか有りません。他に、結核への国民の関心が薄れた、社会経済的弱者での集中発生などいろいろな原因があります。
結核の早期発見は、検診を受けることと結核を疑うことから始まります。
咳、痰、発熱、胸痛などが2週間以上もだらだら続いたら結核も考えてみましょう。お年寄りでは、食欲不振や体重減少が主症状のこともありますので、注意が必要です。