内科・呼吸器内科・皮フ科・麻酔科(ペインクリニック内科)・リハビリテーション科松田クリニック

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コラムcolumn

2021.6.28

妊娠と喘息

喘息の女性が妊娠したら治療はどうすればよいのでしょう。治療薬で奇形にならないかなど心配になりますね。 結論を言いますと、妊娠中の喘息管理の目標は、母体のみならず胎児のために出来る限り発作を起こさないようにする事、そのためには非妊娠時と同じように治療を受けて良いという事です。世界的に見て、妊娠中の喘息治療についていくつかのガイドラインがありますが、皆同じ考え方です。 さまざまな研究によりますと、経口、吸入を含め、普段使われている喘息薬で、ヒトにおける胎児奇形と関連がはっきりしたものは有りません。但し、使用経験が浅い新しい経口抗アレルギー薬は、胎児への影響が未知なので避けるべきでしょう。大規模な調査では、妊娠中に喘息コントロール状態が悪い場合は、早期産、低体重児、新生児死亡が増加すると報告されています。また、母体の側でも周産期死亡率が正常妊婦に比べて高いとの報告も有ります。 胎児への影響を心配するあまり、薬を使わずできるだけ発作を我慢して、さらに悪化させてしまうのが一番大きな問題です。母体が低酸素血症になりますと、胎盤を通して酸素をもらっている胎児は、さらにひどい低酸素状態になります。妊娠週数が進みますと、子宮の圧で横隔膜は押し上げられます。そのため肺の中の空気量(肺気量)が減って、発作を起こすと簡単に低酸素血症になります。また、軽い発作でも母体側は過換気を行い酸素摂取量を増やそうとしますが、反面、母体の動脈血中の二酸化炭素量が減少します。そうすると子宮へ行く血管が収縮して子宮血流が減りますので、胎児は逆に低酸素血症になり得ます。 従って、軽い発作も胎児にとってはバカにできません。お母さんのチョット苦しいは、お腹の赤ちゃんにはすごく苦しいと思って下さい。くれぐれも自己判断で喘息を悪化させるのは避けましょう。