4~8週間以上続く慢性の咳は日常よく見られ、診断に苦慮する病態の一つです。
先ず、胸部X線検査で肺結核や癌などを疑う画像上の異常がないかを見ます。さらに詳しい問診と聴診、喀痰や血液検査、呼吸機能検査などで疾患を絞ります。特に問診は重要です。実際は治療を行ってその反応を見てから診断が判ることもしばしばです。原因がどうしても解らないうちに咳が消えてしまうことも良くあります。
頻度の高い疾患として、喀痰を伴うものでは、
1.気管支喘息
2.喫煙による慢性気管支炎
3.副鼻腔気管支症候群(慢性副鼻腔炎を伴い、少量マクロライド系抗生剤が有効)があり、
痰が出ないか、あっても少量のものでは、
1.咳喘息(ゼーゼーが聞こえない以外は喘息とほぼ同じ)
2.アトピー咳嗽(症状は咳喘息と同じだが、気管支拡張薬が無効で抗アレルギー薬かステロイドが有効) などがあります。その他、
マイコプラズマや肺炎クラミジアなどの感染、高血圧の薬剤(ACE阻害剤、βブロッカー)、花粉症に伴う喉頭アレルギー、胃食道逆流、心因性など原因は多岐に渡ります。