内科・呼吸器内科・皮フ科・麻酔科(ペインクリニック内科)・リハビリテーション科松田クリニック

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コラムcolumn

2023.9.6

肥満症について-その2

肥満の原因は、何はともあれ過食と運動不足です。即ち、日々消費するエネルギー以上に食べ続けた結果です。 3大栄養素の炭水化物、脂肪、蛋白質のいずれも余分に摂れば、肝臓で脂肪に変えられて脂肪組織に蓄えられます。ならば、やせるには運動をして消費カロリーを増やすか、食事のカロリーを減らすかしてエネルギーのinとoutのバランスをマイナスにすれば良いということになります。確かにその通りです。さて、ここで運動かダイエットのどちらか一方だけでやせようとしたらどうなるでしょうか? 運動について言えば、例えば軽く茶やん1杯のご飯は約160キロカロリーで、これを歩行で消費しようとしたら、ゆっくりのお散歩で1時間近く、速足でも30~40分歩かないといけません。もしうっかり2杯多く食べちゃったら、水泳クロールの場合40分泳がないとだめです。身体の脂肪組織1kgは、正味の脂肪が800gと残り200gが水分です。1gの脂肪のカロリーが9kcalですから、1kgやせようとしたら9kcal/g×800g=7200kcalを余分に消費しないといけません。これを1ヶ月かけてやろうとすると7200kcal÷30日=240kcal/日となります。これは、水中歩行なら毎日1時間する運動量です。あなたはできますか? このように運動の消費カロリーは以外に低いので、運動だけでやせようとしても忙しい人には非現実的です。 今度は食事のカロリーを減らすダイエットだけでやってみましょう。しっかりやれば始めの1、2ヶ月は順調でしょうが、その後体重が減りにくくなります。飢餓でも生き延びるため基礎代謝を落としてエネルギーを節約する適応現象が現れるからです。さらに食事のカロリーだけを減らすと、身体は筋肉の蛋白質を溶かしてエネルギーの補充に充てようとするため筋肉量が減り、基礎代謝を含めたエネルギー消費量が減ってしまいます。そこでダイエットをあきらめると、少しの過食でも余剰分はすぐに脂肪合成に回され体脂肪が蓄積されます。たとえダイエット前と体重は同じに戻ったとしても、中身は、体脂肪が増えて筋肉が減った身体に変わっています。再びダイエットを頑張ろうとしても、エネルギーを消費してくれる大切な筋肉が少なくなっていますのでなかなか減量できません。ここでさらにダイエットのみを強行すればさらに筋肉量が減ってしまい、失敗すればもっと脂肪太りへ変身する悪循環に陥ってしまいます。 以上のようなやせを妨げる適応現象や脂肪太りの悪循環を避けて、効率よい減量とその維持のためには、どうしても運動とダイエットを一緒にしないとうまくいきません。 次回(その3)では、少し具体的な減量方法や注意点をお話しましょう。