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コラムcolumn

2024.9.21

高齢者・基礎疾患のある方は肺炎球菌ワクチンを打ちましょう

新型インフルエンザ(A/H1N1)が流行っています。合併症としてウイルス肺炎が大きく取りざたされていますが、海外からの死亡例の報告を見ますと多くは細菌性肺炎を併発しており、純粋のウイルス肺炎は稀です。 一般的に、過去に流行った新型インフルエンザを含め、インフルエンザに合併する肺炎の多くは細菌性肺炎です。はじめはウイルス性肺炎で始まってもすぐ後から、または同時に細菌性肺炎が進行します。その細菌性肺炎の最大の原因菌は「肺炎球菌」です。この菌による肺炎は重症化し易く、菌が血液に入って身体中をめぐる敗血症やさらに脳脊髄液中に侵入して怖い髄膜炎を起こす頻度が高いのが特徴です。 特に高齢者、腎不全、糖尿病、ステロイドや抗がん剤などの免疫抑制剤を投与されている方など、もともと全身性の免疫力の低下している方や心不全、喘息、慢性閉塞性肺疾患(タバコ肺)など慢性的な心・肺疾患をお持ちの方は重症化する危険性が高いと言えます。 当ブログに2007年5月に掲載した「悩ましき肺炎球菌ワクチンよ」では、肺炎球菌ワクチンの効果をある程度限定的と書いておりましたが、その後、高齢者、慢性閉塞性肺疾患、HIVの患者さんなど一旦肺炎にになると重症化し易いハイリスク群の患者さんでの肺炎球菌ワクチンの有効性を示す論文がいろいろ出てきております。 そこで、訂正です。前回の「悩ましき肺炎球菌ワクチンよ」で述べた最後の結論、「高齢者やタバコ肺(COPD)の方は肺炎球菌ワクチンを接種するほうが良さそうだ、いや、するのが良いであろうと考えます。少なくとも悪いことはないでしょうと思います 。」なんて甘っちょろいものではなくて、インフルエンザワクチンと同様、高齢者や基礎疾患のあるハイリスク患者さんは是非肺炎球菌ワクチンを打っておきましょう。 特に、今年の冬(2009年末~2010年初頭)は、留まる所を知らずに拡大する新型インフルエンザに従来の季節性インフルエンザの流行も重なって心理的にはしっちゃかめっちゃかになるでしょう。実際は慌てても騒いでも仕方がありませんので、行政も患者さんも医療者もやれる範囲でやるべきことを粛々と実行するまでです。患者さんと医療者のやるべきことの一つに上記の肺炎球菌ワクチン接種があるかと思います。行政にもこのワクチンの重要性を認識して頂き、公費助成を拡大してほしいところです。同ワクチンの接種率が高い欧米での費用対効果を見ますと、医療費削減効果は明らかです。全体のコストは予防であるワクチン接種より重症化肺炎の治療により多く掛かっています。