内科・呼吸器内科・皮フ科・麻酔科(ペインクリニック内科)・リハビリテーション科
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夏休みになり森林、野山へのアウトドアレジャーに出る機会が増えると思いますが、それに伴い最近森林、野山で
マダニ
に刺される人が増えています。近年の自然志向ブームも手伝っているようです。 マダニに刺されても最初は軽い痒みと痛みを伴うだけです。ある程度マダニが血を吸って大きくなると血豆か、何か急に大きくなった皮膚のできものなどと勘違いして、ご自分で引き抜くなどの処置で済ませてしまう方がおられます。それが不適切ですと後から述べるようなやっかいなことになりますのでご注意を! ダニは昆虫ではなく、足が8本あるクモの仲間です。マダニは吸血性のダニの中でも硬い外皮を持つ大型のダニの総称で、血を吸ってない時には体長2mm位ですが、雌の成虫が幾日もかけて動物やヒトの血を充分吸った時には20mm近くの大きさになります。マダニは
5月から8月
にかけて活発に活動し、野山の木や薮、河川敷や公園の草むらなどの葉、枝、草の先端にじっとしていて動物が来るのを待っています。近くに動物が来て、それによる振動、温度、二酸化炭素などを感知すると動物の上に落下して取り付きます。その後、皮膚温が高く柔らかい所に移動してギザギザしたのこぎりのような口器を刺し込み数日から10日もかけて吸血します。その際、局所の麻酔作用や細胞を溶かし炎症を起こす作用などさまざまな生理活性を持つ唾液を皮膚に注入するのです。
マダニは細菌(ライム病、野兎病など)、リケッチア(日本紅斑熱など)、ウイルス(ダニ媒介性脳炎など)など多数の感染症を起こす微生物を体の中に蓄えており、マダニの唾液を介してヒトはそれらの微生物に感染します。
特に吸血開始後48時間以上すると感染の可能性が高くなるといわれています。その代表的感染症が日本では
シュルツェマダニによるライム病
です。ライム病については次号に解説しております。 尚、ツツガムシ病もダニ媒介性のリケッチア(
Orientia tsutsugamusi
)による怖い感染症ですが、これはマダニとは関係なく、もっとずっと小型のタテツツガムシやフトゲツツガムシの幼虫によるものです。ツツガムシ病の発症時期も夏季ではなく、関東から九州にかけては両方のツツガムシが卵から孵化する秋から初冬 (11月がピーク)と、東北・北陸地方では寒さに強い越冬したフトゲツツガムシの幼虫が活動を再開する春(5月がピーク)に集中しています。
マダニに刺された場合、虫体をむやみに引っ張ると口器を刺し込んだままの頭部を皮膚の中に残してしまうことになり、これにより感染を助長させたり、後から皮膚が化膿する原因になります。また、吸血中のマダニを強くつまんで引き抜こうとするとマダニの体液が皮膚に逆流して注入されてしまいます。従って、ご自分で取ろうとせず、必ず皮膚科を受診されることをお勧めします。
処置としては、マダニに刺された部分をマダニの虫体ごと皮膚の一部と一緒に切除することが最善です。山の中など、どうしても直ぐに皮膚科を受診できないような状況ならば、
先の細いピンセットで、頭部のできるだけ皮膚に近い部位をつまんでゆっくり引き抜きます。
勢いよく一気に引き抜こうとすると口器を残してしまう可能性があります。ピンセットを使う場合も前述しましたように決して太い虫体をつまんで引き抜かないことです。口器ごと引き抜いた後は、たとえ刺し傷が良くなっていても放置せず、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。できれば証拠となったマダニは捨てずに容器に入れるなどして持参して頂くと診断が確実になり助かります。
自然の中に入る時は、虫除けスプレーをして、できるだけ手足の地肌を出さないようにしましょう。服装は白っぽい物がマダニを早く発見する点では良いでしょう。野山を歩いた後は、入浴してマダニが体のどこかにしがみ付いていないか良く確かめて見て下さい。