皮膚科dermatology
皮膚科とは
湿疹、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、
いぼ、白癬(水虫、爪白癬、たむしなど)、帯状疱疹などの
診断・治療を行います。
次のような症状がある方はお早めにご相談下さい。
主な症状
- 湿疹が出来ている
- 肌にじんましんが出ている
- 肌が赤くなっている
- 肌がかぶれた
- 乾燥肌である
- いぼがある
- かゆみが強く、赤い紅斑がある
- 皮膚の痛みや違和感
湿疹
蕁麻疹
蕁麻疹(じんましん)の話
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎
生物学的製剤治療
従来のアトピー性皮膚炎は、ステロイドや保湿外用、抗アレルギー内服が主体でした。中等症以上の方に使用できる生物学的製剤という抗体を利用した治療薬です。
今までのアトピー性
皮膚炎の薬剤
従来のアトピー性皮膚炎は、ステロイドや保湿外用、抗アレルギー内服が主体でした。中等症以上の方はシクロスポリンなどの免疫抑制剤内服を行っておりました。しかし、以下のような問題もありました。
ステロイド外用
非常に有用だが、顔面に長期使用をすると皮膚が薄くなったり毛細血管が拡張する場合がある。
※しかし、現在も重要な薬剤であるのは間違いありません。
抗アレルギー剤内服
そこまで大きな効果は期待できない。
免疫抑制剤
効果は大きいが、腎機能異常や免疫が抑えられることによる感染症などの可能性がある。
定期的な血液検査が必要。
新しいアトピー性
皮膚炎の薬剤
中等症以上の方に使用できる生物学的製剤という抗体を利用した治療薬です。デュピクセント、ミチーガ、アドトラーザが保険適応となりました。
特にデュピクセントは効果が高く、使いやすいです。何十年も全身が真っ赤で皮膚がうろこ状に分厚くなっていた患者様が、みるみるツルツル肌になっていくのを目の当たりにすると、毎回、お勧めしてよかったなあと思います。また、患者さまも「こんなに良い状態になったのは初めてだ」とぼそっとつぶやかれていたのが印象的です。リンヴォックなどのJAK阻害薬内服に比べて、免疫抑制などの副作用が少ない、レントゲンが不要など、メリットが大きいです。
デュピクセント(デュピルマブ)(6か月)
デュピクセントは 「IL-4」と「IL-13」という物質(サイトカイン)の働きを直接抑えます(※)。これによりアトピー性皮膚炎の皮膚の内部に起きている炎症反応を抑えることによって、かゆみや皮膚症状を大きく改善します。
※Th2細胞が産生する「IL-4」と「IL-13」の結合する受容体の「IL-4受容体α(IL-4Rα)」を特異的に阻害する完全ヒト化モノクローナル抗体薬。
初回注射して2週目にはざらざらしていた肌がつるつるになっていたり、かゆみが軽減したりすることもしばしばあり、非常に大きな効果が期待できます。もちろん全ての方に十分な効果があるわけではありませんが、ステロイド外用中心で症状の思わしくない方は一考の価値があります。最近は結節性痒疹、慢性蕁⿇疹にも適応があります。
ミチーガ(ネモリズマブ)(6歳以上)
ミチーガはアトピー性皮膚炎のかゆみを誘発するIL-31(サイトカイン)の働きを抑えます(※)。発疹はそこまでひどくないが、かゆみが強い方に向いています。かゆみをよくする効果は高く、素早く効果が出ると言われています。※IL-31が結合するIL-31RAに対するモノクローナル抗体薬。
かゆみを素早く抑えるのがメインです。注射した翌日からかゆみが減る患者様もいらっしゃいます。
アドトラーザ(トラロキヌマブ)(15歳以上)
IL-13を選択的に阻害する生物学的製剤です(※)。
※2型サイトカインであるIL-13と結合し、IL-13とIL-13受容体のα1及びα2サブユニットとの相互作用を阻害します。
リンヴォック錠(ウパダシチニブ水和物)(12歳から)
JAK阻害薬という種類の内服です。特にJAK1を選択的に阻害します。
中等症~重症のアトピー性皮膚炎の方に使われ、早期に大きな効果が期待できます。特に30mgの内服では非常に切れ味が良い印象です。
サイバインコ錠(アブロシチニブ)(12歳以上)
JAK阻害薬という種類の内服です。特にJAK1を選択的に阻害します。
中等症~重症のアトピー性皮膚炎の方に使われ、早期から大きな効果が期待できます。
オルミエント錠(バリシチニブ)
JAK阻害薬という種類の内服です。※JAK1およびJAK2活性を阻害し、STATのリン酸化および活性化を抑制することでシグナル伝達を阻害します。
中等症のアトピー性皮膚炎の方に使われ、早期からかなりの効果が期待できます。
スギ花粉皮膚炎について
治療は抗アレルギー剤を内服し、花粉症そのものを良くする必要があります。それに加え、皮膚局所の治療としてステロイド外用剤を用いて炎症を抑える ことが大切です。炎症が抑えられたら次に保湿剤を使用して皮膚のバリア機能を保つ ことが重要なポイントになります。過度の皮膚の洗いすぎはバリア機能を傷害するので控えましょう。これに反し、適度の化粧はバリアとなってくれるのでむしろ良いとされています。
このスギ花粉の時期に限って顔が痒くなったり皮膚炎を生じるようであれば、スギ花粉皮膚炎も疑って皮膚科を受診されることをお勧めします。
いぼ
このうち、多くはウイルス性疣贅であり、皮膚や粘膜にできますが、疣贅ができる場所により足底疣贅、爪囲疣贅など名前がつけられています。さらに、疣贅の中でも多いタイプをまとめて「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」、そうでないものは「特殊型」という名がつけられています。
尋常性疣贅(いぼ)の話
たこやうおの眼(鶏眼)と間違えて削ったり、スピール膏を貼ったりするとますます大きくなり数が増えますので、注意が必要です。
治療は液体窒素で冷たくする治療で、少し痛いですが頑張って1週間位で通院される事をお勧めします。治るまでには個人差や出来た場所にもよりますが、子供の方が大人より治りやすいようです。また踵など皮膚の厚い場所に出来た場合は、治り難い傾向があります。黒くなったり、水泡になったり、かさぶたになり自然にとれますので、いじらないで下さい。数が多い場合や、液体窒素による反応が少ない場合は、ヨクイニン(はと麦)は、ある程度、尋常性疣贅には効果がある事が認められています。早期に正しい治療をすれば早く治りますので、ご相談ください。
白癬(水虫、爪白癬、たむしなど)
爪白癬に関しては、最近比較的安全な内服薬が処方されるようになりました。
巻き爪治療
また、最近は巻き爪治療に巻き爪マイスターを装着し、リネイルゲルを塗布することにより、劇的に巻き爪が改善することが出来るようになりました。
帯状疱疹
ただし、初めて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したときは、水痘(水ぼうそう)として発症します。多くの場合、水痘は子どもの頃に発症し1週間程度で治りますが、治癒後もウイルスは体内の神経節に潜伏しています。その後、加齢やストレス、過労などが原因となってウイルスに対する免疫力が低下すると、神経節に潜伏していたウイルスが再活性化し、神経を伝わり皮膚に到達して、痛みを伴う赤い発疹を生じます。これが帯状疱疹です。通常は生涯に一度しか発症しませんが、免疫が低下している場合には再発することもあります。
80歳以上の高齢者では、3人に1人は罹患すると言われています。
帯状疱疹ワクチンを2か月間隔で2回接種することにより、約10年間は90%近く罹患を減らすことが出来るようになりました。ただ、高価なワクチンですので、接種を希望される際にはご相談ください。
また、従来からの水痘ワクチン接種では、5~6年毎に接種することになりますが、ある程度罹患は予防することが可能です。
帯状疱疹後神経痛について
疼痛は徐々に軽減し違和感などとなり、やがて消失しますが、疼痛が持続して発症後3ヶ月たっても耐え難く持続している場合があり、それを帯状疱疹後神経痛と呼んでいます。帯状疱疹による疼痛は、抗ウイルス薬で有効な例もありますが、皮膚症状が落ち着いてからの疼痛は神経線維の変性によるものであり、なかなか難治であることが珍しくありません。
程度に応じて鎮痛薬(内服や座薬)や抗うつ薬、抗痙攣薬を用いますが、鎮痛剤投与で改善が認められない時には、星状神経節ブロック、硬膜外ブロックなどの神経ブロックが有用です。そのほかレーザー療法や鍼治療なども有効な事があります。疼痛の早い時期ほどこれらの方法は経過が有効な事が多いですので、ご相談ください。